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家庭内での比較や競争、そして愛の奪い合いは、多くの家庭で見られる普遍的な問題です。今回も実際の体験を通じて、親子や兄弟姉妹の関係がどのようにして形成され、どのように影響を与え合うのかを探ります。さらに、思考のテクノロジーがどのように、この負の連鎖を解きほぐし、家族の再生と個人の成長を促進するのか、その具体的な変化と気づきを紹介します。私たちがどうすれば愛の絆を深め、心の平和を得られるのか、人生の在り方を共に考えてみましょう。

中田 幸子 50代 女性【大阪府】

知らなかった父の悲しみ

ある日、実家の父の幼少期の聞いたことのなかった体験を聞く事となりました。

父はなぜか孫の次女に心の内を明かすことが多く、今回も「お祖父ちゃんからこんな話を聞いたんだけど、ママにも伝えるね」と次女から聞きました。
父には弟がいて3歳ごろに亡くなったことは知っていましたが、詳しい話を聞いたことはありませんでした。

当時の戦争という時代背景など、兄弟姉妹の中で亡くなる子がいるということは多々あるという認識もあり、お位牌に手を合わせる事はあっても、それ以上気に留めたことはありませんでした。

しかしそこには深い悲しみがあったのです。

弟の突然死

当時、父は両親と弟の4人家族。両親が商売をしていたお店が東京大空襲で焼けてしまい、栃木県の小さな村に家族で疎開をしていた時の出来事です。
弟は何かのウイルスによる突然死だったそうです。

田舎の小さな村で近くに病院も火葬場もなく、まだ幼い父は父(私にとって祖父)と山から薪を拾ってきて家族で弟の遺体を荼毘に付したそうです。薪が無くなれば何度も山に拾いに行き、その間母(祖母)は号泣するばかりだったそうです。

それからというもの母は悲しみに沈み、弟のことを「あの子は優しかった」と言うばかりで、そのたびに父は弟と比べられているようだったということでした。

「あなたのお母さん(私)にも話したことがなかったことだけどね」とお祖父ちゃんが言ってたよと、次女から聞いたときには、まさかこんなことがあったのかと衝撃が走りました。

医療もまだまだ発達してなく、戦争で仕方がなかったのかもしれないと言いつつも、次女も一緒に父の思いを感じてくれました。

父から弟のことを一切聞いたことがなかったことも、私も子どもながらにどこか祖母と父の間に距離があることを感じていたことも、触れたくない思い出したくない過去、悲しみがあったからなのかと、繋がっていきました。

父の思いと私の思い

男性性の中にある母に愛されないという深い悲しみ、それはまさに常に弟と比較されていると感じ母に愛されていないと思い込んだ私であると「父と私」の思いこみが重なりました。

女性性の中にある失う恐怖も、母が弟に対しての過保護ぶりも、先天性の遺伝疾患があるからだったと感じることができました。
兄弟姉妹の比較競争、母の愛の奪い合いも、親から子へ、そして孫の代へと受け継がれたものでした。

子どもの頃、夏休みなど父の実家に行くと、いつも祖母は弟のことを「あの子は優しい」とばかり言っていました。
「どうせ私は意地悪だよ、みんな弟のことが可愛いんだ」と、いつも私は不貞腐れていました。
しかしこの話を聞いて、祖母は弟に亡くなった息子を重ねていたのだとわかったのです。

だから弟の成長がどれほどの喜びであったのか、弟の存在がどれほど祖母を癒し救っていたのかと、
弟への祖母への思いが更に深いところからほどけていきました。

父も胸の内を次女に話して解放されたと思います。

自分だけを見て欲しい!

私には3人の娘がいます。

思考のテクノロジーを知る以前、幼稚園時代の長女と次女の関係は、お互いに境界線を張るように、家の中でもここから入ってくるなと受け入れず、玩具も独り占めし貸し借りも全くしませんでした。

「どうして仲良くできないの」と口を酸っぱくして子どもたちに言っていました。
そんな様子を見た実家の両親は、何でも必ず二つ買ってくれていました。

ある日次女と二人で買い物に行き次女の物を購入したとき、「お姉ちゃんにも何か買ってあげようか」と言うと、
「今日は私の事だけ考えて」と言われ、ハッとしたこともありました。今ならこの言葉の意味がよくわかります。
やっと母親と二人きりで出かけているからこそ「自分だけを見て欲しい!」という言葉が出たのだと思います。

しかし負の連鎖とは知る由もなく、解決策もわからず、
「どうすればいいんだろう?」「将来どうなってしまうんだろう」と案じるばかりでした。

ですが思考のテクノロジーに出会い、
母にこんなにも愛されていたこと、憎しみしかなかった母が本当は大好きだったこと、
娘の独り占めは、母を独り占めしたかった私の隠したものだったと、
様々な気づきと受け取りをしていくと、それまでの人生の行き詰まりも三姉妹の関係も一気に変わっていきました。

今では、お祖父ちゃんお祖母ちゃんを大事にしてくれ、毎月入れ替わりで会いに行ってくれることも、私が遠く離れている分、娘たちに感謝しています。

就活を通して

三女のことですが、就職活動を通じて、彼女の成長と新たな挑戦が見えてきました。

エントリーシートの質問で、
・これまでの人生経験で良かったこと
・挫折したこと
・それをどう活かしたか
など様々な角度から質問されるそうです。

そこに、どう答えるか悩む三女と一緒に振り返りながら、彼女の過去の経験がどう活かされるかを見つめ直しました。
中学・高校時代は演劇部で演出や舞台作りに熱中し、オーディションに落ちた時も演出に喜びを見出しました。

大学では演劇部の活動ができず、突然陸上部のマネージャーに転身しましたが、新しい挑戦として受け入れました。
教授から「マネージャーは経営者」と言われ、三女の中で私たちのDNAが開花しているように思いました。
陸上部のプロデュースやホームページのリニューアルなど、貴重な経験を積んでいきました。そして演劇研究のゼミにも入り、さらに成長しました。

自己信頼を持ち続ける三女は、就職活動でも早期に内定を得て、過去の経験がすべて活かされる職種に挑むことになり、可能性が開かれていく素晴らしさを傍にいて感じるほどでした。

結婚と新たな家族

自分自身を知っていくことで、

男性が病気で亡くなるという女性の恐怖も、《夫・父・弟》の病気が終わっていること、兄弟姉妹の比較競争、愛の奪い合いや愛されない悲しみの連鎖も終わっていることを感じます。

どんな時もDNAに守られていて、その可能性が開かれていくことのすごさも感じています。

そしてさらに、今年に入り結婚が決まった次女を通しても、親の愛、新しい家族が増える喜びを感じています。

プロポーズされたと聞いたときは、自分のこと以上に嬉しくて感無量の思いでした。
しかし実際に入籍する日が決まると、名字が変わってしまうのだなと一気に寂しさが押し寄せてきました。

きっと母もこんな思いだったんだなと、私の結婚当時を思い出しました。
結婚式の数日前に母子手帳と臍の緒を渡してくれた母。
同じように、次女にも母子手帳と臍の緒を渡しました。

弟の事で私がどんなに悪態をつこうが
「私のことなんか生まなければよかったのに」と、
母を泣かせる言葉を投げつけようが、母はずっと変わらない愛で育んでくれていることを更に深く受け取ることができました。

次女の彼の実家の環境などは我が家と表面的には真逆に見えます。

ここからどんな化学反応が起こるのか?融合のエネルギーでどんな二人の宇宙が産まれるのか!楽しみでもあり結婚の醍醐味を味わえることに感謝でいっぱいです。

思考のテクノロジーがあることで、先祖代々から受け継いだ命、そして結婚により繋がる「縁と命」。

家族の中でだれもがその結び目となってすべての人の幸せな宇宙を産み出していけることに感謝と感動でいっぱいです。

この喜び、感動、生きるって楽しい!を様々な活動を通して伝えていきます!

あとがき

幼い頃に感じた母親への愛の渇望や、兄弟・姉妹との比較による劣等感は、父の過去の経験と重なり、家族間で共有された感情の連鎖を感じさせます。これらの感情は、親から子へ、さらにその子どもへと続いていくのです。

家族の過去の悲劇や愛の連鎖を通じて感じた深い感情と、どんな体験であっても、その問題を乗り越えることで見出された新たな家族の喜びを感じていただけたら幸いです。

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