「聞き上手」は「話し上手」と同じくらい、時にはそれ以上に重要なスキルだと言われています。相手の話を最後まで聞かず、自分の意見を言ってしまうことで誤解されてしまったことってありませんか?もしかしたら親子のコミュニケーションが取れなかった理由にもなるかもしれません。今回の女性は、自分では気が付かなかったのですが、夫から「子どもの話を聞かずに否定する」と言われたことで話せなくなっていきました。ですが長女の留学を控えたことで、「このまま話さなくて留学させていいのか?」自分の寂しかった思いに気づき自分の気持ちを受け取ることで関係性が一気に修復!長女と数年ぶりに心通わせることが出来て至福の時間となりました。元々お互い相思相愛だった!
Kさん 50代 女性【神奈川県】
コミュニケーションが取れなかった
完璧なタイミングで全てが進んで、長女とのわだかまりが全部、消えてなくなりました。その時、天真爛漫な無垢なままの長女が目の前にいました。それを体感させていただきました。
2月14日、バレンタインの日に長女が念願の留学先に飛び立ちました。
長女は高2の夏に引きこもりになってから、私とは全く口をきかなくなりました。
主人や妹とは話をしますが、私とだけは全く話さない。私が声をかけるとすっといなくなる。
完全に避けられた状態で長女と話ができないので、主人や次女を介して長女に伝えたいことを伝えるという、いびつな家族関係でした。
どうしてそうなったのか自分では分からなかったのですが、主人曰く、私がいつも長女の話を聞かずに
《否定するからだ》と言われました。
言われた時は意味が分からず、そうなの?と思っていました。でも、そう言われたことを気にして長女に何か言うのをためらうようになり、ますます何も言えなくなりました。
我が家は、誕生日にはケーキを準備して皆でお祝いするのが通例でした。
長女の20歳の誕生日の時、彼女が、私がいない場でお祝いをしたいと希望したので、私が仕事に行っている間に主人と妹と3人でお祝いをしました。
それを知らされておらず、私が仕事から帰ったらすでにお祝いが終わっていました。
仲間外れにされたようで、ものすごくショックでした。節目となる20歳の誕生日を、本当は一緒にお祝いしたかったのです。
家族が一つ屋根の下にいても空中分解している、そんな状態でした。
いよいよ長女が留学か?!
ミロスのカリキュラムを受講しつつ、何か受け取るたびに、少しずつ関係性は変化していきました。
そして2022年4月には長女が一人暮らしをする決断をし、引きこもりを脱出して別の町で暮らし始めました。
彼女が家を離れる前、関係は少し良くなっていましたが、やはりまだ会話はできない状態でした。
家を離れたので、そのまま連絡を取らなくなり、数カ月が経ちました。
長女は、以前から海外の大学に留学することを決めていましたが、コロナの影響で渡航できず、オンライン授業を受けていました。
学生ビザが取れない状況が数年続き、足止めされていたのです。
それが、昨年中頃にやっと渡航できるようになり、昨年末からビザ申請や現地の家探し等を始めました。
いよいよ2月12日に出発することになり、その数日前に一人暮らしを引き上げて家に帰ってきました。
ところが出発2日前に、留学先の国に超大型ハリケーンが来たために渡航日の飛行機がキャンセルとなってしまいました。
急いで別の日の飛行機を取ろうとしましたが、予約がいっぱいで1週間後の飛行機しか空きがありませんでした。
この時、最初は長女が留学先に行くのに不安があるのかなと思いました。
自分の気持ちにふれてみると……
が、その後、こんな状況は以前もあったと思い出したのです。
一年前、次女が遠方の高校受験をする前、次女と離れる寂しさを隠していた私はコロナに罹り、次女が受験に行けなくなるような状況を作り出したのです。
今回も、実は私が長女と離れるのを寂しがっていたのか?と思いつき、自分の心をよく見つめると、長女とまともに話も出来ずにこのまま遠くに離れるのはいたたまれないという思いがあるのに気づきました。
そっか~そうだったんだ!と自分の気持ちを受け取りました。
その翌日、飛行機の予約にキャンセルが出ていないかチェックしたら、2月14日の飛行機に空きがあるのを見つけ、なんと予約を変更することができたのです。
二日遅れで出発できるようになったのですが、この二日間が絶妙なタイミングでした。
実は最初の出発日だった2月12日から主人が出張に出かけることになっていたので、12~14日は長女と二人きりになったのです。
12日の昼食の時、長女の一人暮らし頃の様子を聞いてみたら、いろいろ話をしてくれました。主人がいると私とは話をしなかった長女が、話しだしたのです。
そして夕食の後は、会話の弾みで家族写真を見ることになり、長女が生まれた頃からの家族写真を見始めたら、楽しくて楽しくて何時間も夜中まで話をしました。
二人で家族写真を見ながら、長女の知らない赤ちゃんの頃の思い出を話したり、あの時こうだったねと思い出を語り合いました。
それはまるで、それまでお互いに近づきたくても近づけない、心を通わせたくても通わせることができなかった数年間を埋めるような至福の時間でした。
お互いに大好きなのに、心を通わせられなかった過去を埋める時間でした。
おかあさんに憧れて……
翌日は、ひたすら長女の荷造りを手伝っていたのですが、彼女は子どもの頃の純真なままの長女になっていました。
私も何か話しかけるのをためらうこともなく、私が何か言うと長女は「はーい!」と素直に答えて、なんのわだかまりもありませんでした。
出発当日は、成田空港まで見送りに行きました。飛行機のチェックインが終わり一息ついた後、長女が座って少し話そうと言い出しました。
そして、「子どもの頃、お母さんのことを色白でシュッとしていて綺麗だなって思っていたんだよ」「私が子どもの頃にピンク色が大好きだったのは、そんなお母さんに憧れて、きれいになりたかったからじゃないかな」と伝えてくれたのです。
こんな話は今まで一度も聞いたことがなく、驚くと共に、こんな言葉を長女から聞けるとは全く思っていなかったので、空港で号泣しそうになりました。
そして、いよいよ長女が出発ゲートに入っていく前に、私の心の内から思いが湧き上がってきて、「今までたくさんの笑顔と幸せな時間をありがとう。
今まで一緒にいてくれてありがとう」「あなたの気持ちにうまく寄り添えない時期があったけど、ごめんね」「一緒にいなくても、いつもあなたは私の心の中にいるよ」と長女に言葉で伝えることができたのです。
私が、私に伝えたかった言葉でした。
バレンタインの日に、長女と相思相愛になれました。別れる前の自宅での2日間は、一緒にいるのがただただ楽しくて、最高のプレゼントでした。
長女との相思相愛は、自分との相思相愛が感じられて、今でも思い出すたびに涙が溢れます。
心の雪解け=傷が解放される
ずっと、お互いに甘えることを封印していたのが解けた今、長女とは毎日LINEでやり取りをしたり、ビデオ通話をしています。
長女の方からLINEで話しかけてくれる、半月前にはあり得ませんでした。離れているけど心は離れていないのを実感しています。
外はまだ寒いですが、私には一足先に心の雪解けが起きました。
今回の出来事で、最後のピースがハマったと感じています。
私が最後まで受け取れなかった女性性の傷が解放されて、まっさらな状態に戻ったのを感じます。
心の中に何のわだかまりもなく、ただただ幸せで、これが豊かさだと実感しています。
このような体験をさせて頂いて、本当に全ての体験は宝物ということを改めて実感しました。