愛し合って結婚したはずなのに、離婚することになってしまった夫婦と、ずっとうまくやれる夫婦。いったいどこが違うのでしょうか。
コミュニケーションをしようとすると、「相手にいかにうまく伝えるか」に意識してしまいます。しかし、本当に大切なことは「双方向のもの」であるということです。相手に対して、ただ伝えたいだけではなく、相手から言われていることを、いかに「正確に受け取るか?」いう視点が大事なのではないでしょうか。今回のご夫婦は、結婚してからずっと、お互いの思いが伝わらなかったのですが、あることがきっかけで、変化が!
さてお二人に何があったのでしょうか?ご覧ください。
池内 國生 さん 40代 男性【静岡県】
ずっと繰り返していた喧嘩
「離婚して下さい。貴方とはもうやっていけません。もう無理です」
2019年の年頭、妻からの衝撃の発言。
この妻の決断に自分は「もうこの生活を続ける事は無理なのか」と絶望していました。
振り返ると、結婚前の付き合い当初から私たちの関係性は全く変らず同じでした。
妻は自分が気に入らない言動をすると、罵詈雑言シャワーのように容赦なく攻め立てる。自分は妻の、人に対してそこまで言うか、というくらいの攻撃にひたすら黙って耐えてばかりでした。
そして、妻が愛想を尽かし喧嘩が終わる。こんな状態をずっと繰り返していました。
閉じて何も発言しない自分を見て妻は、更にイライラが募っているのが目に見えて分かるのですが、自分はどうしていいのか解らず何も出来ませんでした。
こんな事を繰り返してばかりいると、自分自身が何をどう考えているのか、自分の気持ちや思っている事が全く解らなくなってきました。
本当に全く解らないんです。何もかも。
同時に妻の事も、何を考え何を伝えたいの分からない。
何に興味があるのか、どんな事をすれば喜ぶのか分かりませんでした。
自分は妻の顔色を伺い機嫌を悪くさせない様に、精一杯気を使う事しか出来なかったんです。
他人事として聞いていた
何も見てもいない。本当に無関心でした。
怒られながらずーっと心の中で思っていた事。
「何で自分は今怒られてんだろう?意味がわかんない。そんなに悪い事したのかな?」
と、全く何も聞いていませんでした。
また何か言ってる、と自分が怒られているのに他人事として聞いていました。
そんな自分が喧嘩中にしていた事は、妻の質問に対する正解を探すこと。
今言われている事に妻は何て返答して欲しいんだろうと考えてばかりでした。
自分の思いも妻の思いも解らない自分の返答する事は、質問の意図が全く分かっていないトンチンカンな発言ばかり。
自分に交わした約束のせいで……
なぜ言い返せないのか?自分の人生を振り返った時、こんな事も思い出しました。
それは12歳くらいの頃、母親の財布からお金を盗った瞬間を、母親に見られてしまい「お金を返して」と言い寄ってくる母親に思いっきりビンタをして、泣かせてしまいました。
この事がきっかけで、自分は女性に対してやってはいけない事をしてしまったと、
自分を責め「罪悪感」を感じるようになりました。
そこから自分の中で強固な約束をしたんです。
・女性を泣かせる事はしない
・女性に手を挙げる事はしない
・女性をイジメる事はしない
・女性の喜ぶ楽しむ事は最優先する
・言う事は何でも聞く
・自分は必ず女性を幸せにする
と…。
このルールは自分の中で何よりも絶対でした。
なので妻にも自分が何か言う事で泣かせてしまい⇒嫌われ⇒去られてしまうという
《恐怖心》 があったのです。
でも妻から見たら、何も答えず、気持ちも言わず、強烈に何かに抵抗しているようにしか思えなかったでしょう。
それでも妻は20年近く、自分にエネルギーを向け続けてくれていました。
ですが……
とうとう妻の中で灯火が完全に消えた時、あのセリフを聞いたのです。
「離婚して下さい。貴方とはもうやっていけません。もう無理です」
プライドも捨てて自分自身に向かう!!
今までどこか他人事だと思っていましたが、
「ヤバい!!どうしよう」本当に失ってしまうという恐怖心と焦りが襲ってきました。
仕事も手につかず、食事も喉を通りませんでした。実際その時、凄く痩せました(笑)
この恐怖心を自分で感じた時、パートナーを失う恐怖の他に「プライド」があったのです。
それは結婚式の時、最後のスピーチで自分が言った「妻を宇宙一幸せにします。」
コレをずっと握り絞めていたからです。
幸せにする事が出来ない挙句、離婚までしたら家族や友達に対して示しがつかない。
あんな大層な事を言って離婚すんのかよと思われるのは恥ずかしい、絶対に避けたい!という自分勝手なプライドのせいでした。
しかしその最後まで握り絞めていたプライドも捨て、初めて自分自身に向かいました。
色んな思いが出てきました。
・ミロスを学びながらも自分を知るという事には一切興味無く、妻を変える事にしか興味が無かったこと。
・妻の顔色しか見ず、何も妻の言動、存在に興味の無かったこと。
・今まで妻に対してどんな悲しい、淋しい思いをさせてきていたのか。
・どんな気持ちで言ってくれていたのか。それが届かない事で何度諦めてきたのか、それでも届けようとしてくれていたこと。
初めて妻の気持ちに寄り添い、考えることが出来ました。
こうして自分が自分に問いかける時間を与えてくれた妻には感謝しかありません。
本当の気持ちを素直に伝えた
そして最終の話し合いの場がきました。
自分はそこで思っている事を素直に伝えました。
「本当は離婚なんてしたくないよ。でも今まで何も分かろうとしなくて、向き合って来なくてごめんね。まゆちゃんが今一番したいことが離婚ならそれを受け入れるよ。それと、考える時間を与えてくれて初めて自分に向き合えたよ、ありがとう。感謝しかないよ」と。
すると目の前の妻から涙が溢れてきているんです。
何で泣いているのか、分かりませんでした。自分は言った事でスッキリしていたので、もう未練はありませんでした。
次の瞬間、妻から「もう離婚はしないよ。本当の気持ちを教えてくれてありがとう」という言葉を聞きました。
本当はスゴく嬉しい事なんですけど、自分はビックリし過ぎていて茫然自失状態だったのを今でも覚えています。
そしてこの一連の瞬間を思い出すと、今でも感涙してしまいます。
聴けることの奇跡
本当にこの時から自分の耳がパカッと開き、妻の声も自分の声も聴けるようになっていきました。
妻の自分に対するあの異常な程の「こっちを見てよ!」「もっと興味を持ってよ!」という叫びは、自分が自分に対する叫びであり、存在の叫びだったと感じた時、自分自身の存在に、妻に、これまでどれだけの愛を与えてきてもらえていたのか理解出来、泣きじゃくりました。
あんなに叫び散らしていた妻も、実は同じ傷を持ち、あんな行動を取るしか出来なかったし自分がそうさせていたんだと。どれだけ1人ぼっちで淋しかったか。
そして自分が自分をどれだけ置き去りにしてきたのか。
幸せに出来ない男はダメ。自分で創ったルールに自分で苦しみ、その苦しみを妻にも与えていました。
幸せな女性が目の前に来ては自分が困るので、不幸な女性を自分で創っていたと知った時、妻にあんな役をさせてしまったのは自分の無意識がさせていた事を理解しました。
今思うと、
幸せにできない。
聴けない。
興味がない。
という事が駄目だと誰も言っていませんでした。
妻も親も講師も仲間達もです。
ただ1人自分を除いては。ずっと、出来ないことに自分が抵抗して自分で攻撃していた。
だからずっと妻に攻撃されていたんですね。
聴けるという事がどれだけ奇跡的な事か!!聴けないという事で自分をどれだけ不幸にしていたのか、極に行って体験したことで聴くことの本当の意味を知りました。
しかもDNAの記憶としてミロスシステムを聴ける。
妻と共にです。最大のプレゼントです。
罪悪感が消える!
この事を理解した辺りから、自分の中にあった《罪悪感》が、すーっと消えていきました。
今は喧嘩をしたとしても、きちんと自分の気持ちも出せるし、妻は自分に何を伝えたいのかも聴けるようになっています。
例え攻撃されたと一瞬思っても、その奥の思いに触れると自分自身の本当の思いが隠されているんです。
ビクビクしながら会話していた事が嘘みたいに、今ではリラックスしています。
まるで夢だったかの様に。この安心感は以前では絶対に味わえなかったものです。
そして今では、2人の空間で「出逢いから現在」まで何故こう成ったのかシステムを通してちゃんと理解出来ると、どちらも悪く無かった事を知れました。
苦しかった当時のお互いの思いをシェアしていく度に、自分では絶対観る事の出来ない盲点を観ることが出来、たくさんの過去がどんどん書き換わっています。
それと同時に自分の変容も、妻の変容も目まぐるしいスピードで起こっています。
決して自分の気持ちを言えなかった2人が、LINE LIVEで思いっきり自分達の気持ちを素直に表現している。
そしてミロスシステムを、自分を知っていくと、自分の内側から「トキメキ」が溢れて溢れて仕方ないんです。
内側の男女が勝手に近づいている感じです。
2人で歩んでいける現在、想定外の何が来るのかワクワクな毎日を送っています。
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※お二人の会話が収録されている、【ゆるっとかふぇ】のお話です。360~364