子どもの愛し方がわからないと悩む親御さんに”自分の生い立ち”を聞くと、代々同じような親子関係が続いていたりします。いくら理想を持って頑張っても、なぜか自分の親と同じ気持ちを追体験してしまうのです。どうすればその連鎖を絶つことができるのか?これからご紹介する体験にヒントが詰まっています。
堀江 立子さん 50代 女性【愛知県】
母の想いを感じて…
先日、ミロスアカデミーの野坂講師が、“愛”についてご自身の体験を話して下さる機会がありました。
講師は、幼い頃に両親と離れ離れになり、親から愛された記憶がなく、親の愛を感じていないので、子育てで子どもをどう愛していいのか分からなかった。けれども、子どものことはとても愛していたと話していました。
話を聞いているうちに、私の母の体験とよく似ているなと思い、自分の中に母の想いを感じてとても胸が熱くなりました。
すると、数年前に母から手紙を貰った事を突然思い出したのです。
その手紙には、私の母になった喜びや感謝と共に、母として私に何もしてあげられなかったと書いてありました。
母は生まれてすぐに実の母親を亡くし、父親もすぐに他界したため、両親の愛を全く感じることなく大人になりました。ここが野坂講師の体験と重なっていました。
愛された記憶がない母…
「愛された記憶がない母」
そんな生い立ちの母が親になり、一生懸命子育てをしましたが、娘の私に辛い思いをさせてしまった・・・と、手紙の中で謝っていたのです。私に“強く生きて欲しい”と願って育てたことで、逆に私を苦しめて、支えてあげられなかったとも書かれていました。
母は子どもを愛しているけれど、愛された記憶がないので、自分の愛に自信がなく、
ただただ一生懸命に子育てをしたけれど、私に十分な愛を与えられなかったと…。
当時の私は、突然の手紙で正直怖くなったのです。
何故なら、母の想いを受け取るというよりも、こんな“懺悔”のような手紙を読み、
母が死んでしまうんじゃないかと本当に怖くて震えました。
あまりに怖くて手紙は大切に保管しましたが、見ないようにしていました。
でも私は、お母さんの愛を充分感じていたと思っていたので、
「私は愛されていたよ〜〜〜!」と母に伝えていたのですが、
ミロスを学び、色々な事を理解していく中で、恐怖をプラス思考で誤魔化していただけだったと気付いたのです。
本当は、とてつもない“愛の欠乏感”を感じていたなんて!
自分の無意識を知った時、とてもびっくりしました。
思考の奧で、「私は愛されない!」と思っているのだろうと薄々感じてはいましたが、
はっきりと自分の中に“愛の欠乏感”を感じた時、
自分の人生「“だからか〜〜〜!」と腑に落ちました。
“欠乏感”ゆえに、愛されようと母の顔色をうかがったり、我慢したり、
母の望む娘になろうと生きるのが当たり前になっていました。
当然、結婚すると、パートナーの顔色をうかがい、相手に合わせて生きてきました。
そして、それは友人や全ての人間関係に於いても同じでした。
私は、それしか知らなかったのです。
相手の顔色をうかがう?
ずっと相手の顔色を見て、相手に合わせ、嫌われないように生きてきました。
なぜなら、相手にどうしても母を感じてしまっていたのです。
全て“愛の欠乏感”からの行動でした。愛を失うのが怖くて、愛されるためには…と
理想を持ち、人間関係を形成していました。
そもそも ”私は愛されていない” という思いそのものが幻想で、
だから、愛されていないと感じる世界しか見えなかったんですね。
母も母なりに、愛の欠乏感ゆえに苦悩しながら、私を愛してくれていたんだと感じることが出来ました。
パートナーも同様に、両親からの愛を感じることなく育ち、同じ欠乏症だったと感じることも出来ました。
お互い欠乏感を埋めるために戦っていた。ただただ「愛して〜〜〜!」と叫び合っていただけだったのです。
数年ぶりに、保管していた手紙を読み返してみました。
当時は母が死んでしまうんじゃないかと怖くて震えた手紙でしたが、私の母になれた喜びや、私が親になったことを喜び、私のことを本当に心配して、母なりの愛で支えてくれたことを感じて涙が溢れました。
母の想いをやっと感じることが出来ました。
もともと愛されていた!!
私は
「愛されていた!」
そう感じた後、息子に初の子どもが産まれました。私達にとっても初孫です。
パートナーと共に、誕生をとても喜び、元気に生まれてきてくれたことに感謝しかありませんでした。
そして翌日、仕事柄休みが取れない息子と娘ともタイミングが合い、みんなで会いに行くことが出来ました。
家族揃って誕生を喜ぶ空間を感じた時、
生まれてきた喜び、愛をたくさん感じました。
そして、私もこんなに愛されていたんだ〜。
と同時に感じることも出来ました。
その初孫誕生の2日後は、娘の誕生日でした。
娘にLINEで「生まれて来てくれてありがとう」と伝えることが出来ました。
娘から「産んでくれてありがとう。そして私の母になった誕生日おめでとう」と返信がきました。
私の中で母も一緒に癒されてしまいました。
すべてがタイミングで起きていることに感謝しかありません。
決して見ることの出来なかった無意識を、システムによって見えるようにして下さったこと、
本当にありがとうございます。