近年、特殊詐欺が社会問題となり、認知件数として2年連続で増加しています。
「自分は大丈夫」「こんな詐欺には引っかからない!」「どうして騙されるのか信じられない!」
と思っている方も多くいらっしゃるかと思います。詐欺の被害者にならないためには、手口を知っておくことと、対策も知っておくことが重要だとされています。
今回の女性は、夫が詐欺にあい、被害者になっただけではなく、詐欺という大きなマイナスの体験をしたからこそ重要なことを知ることができたそうです。自分の根底に感じる思いをみてみると、子どもの頃から置いてきぼりにしてきた自分の気持ちにふれることが出来たのです。
何を封印して生きてきたのでしょうか?
Yさん 40代 女性【滋賀県】
主人に怒りがわく!
はじめてミロス実践コースを受講しました。
「受けたい!」という気持ちに正直になり、ジャンプして申し込みました。
ワクワクしながら待ち侘びた第一回目。
終わってから、大きな体験がやってきました。
主人が詐欺にあって大金を支払わなければいけなくなったのです。
「あなたは幸運なのでお金をプレゼントします」とSNSを通じて送られてきたメッセージ。
鵜呑みにして騙されて、お金をもらうどころか大金を払わないといけなくなりました。
ここ数ヶ月、経済的に悩むことがあり、そんな日々を過ごす中で追い討ちをかけるようにお金の問題が発生してしまいました。
誰が考えても詐欺とわかりきっている内容のメッセージに騙された主人に怒りが爆発し、
「馬鹿じゃないの!!」と叫んでいました。
私の発した「馬鹿じゃないの」の一言。
この一言をきっかけに、自分のパターンをシステム図で明らかに観ることになりました。
父を理想としたことで
まずは両親のことをどのように捉えていたのかを、お話しします。
私の父は、無口で気難しい植木職人です。
勤勉で勉強家。なんでも独学で学びます。
結婚して独立して仕事をする際、何かあれば資格がないと信用がないから…と、
造園の資格、毒物取扱、宅建など沢山の資格を取得しました。
仕事に必要なら、古文書や英語も学び、軽々しい行動や言動はせず、慎重に生きている。そんな父を尊敬し理想としてきました。
母は明るく優しく温かい人です。小さい頃からたっぷり愛情を注いでもらいました。
しかし、昔からどうしても母にイライラしてしまう事。それは、テレビの情報や人の話を鵜呑みにし、まるで知っているかのように話す姿が大嫌いでした。
自分で勉強した訳でもなく、自分で体験した訳でもなく、真偽のわからない薄っぺらい情報や知識をもとにペラペラ話す。そんな軽々しい言動にいつもイライラしていました。
自分の気持ちを置き去りに…
「お父さんを良しとして、軽率を嫌ってるよね」
と言う講師の言葉に、思わず頷き、自分を知っていくことになりました。
父を理想として、軽率に見られないように慎重に慎重に生きてきました。余計な事は言わない、人から非難されないように行動してきました。
軽率を嫌い軽率を隠し、慎重に傾くほどに目の前に映し出される軽率な姿。
「あなたは幸運だからお金をあげますよ」と言う言葉を鵜呑みにして、詐欺師に自分の情報を全て公開してしまった軽率な主人。
「Yちゃんの中に騙すと言う事がないだろうか? 無ければ騙されない。詐欺は見ないよ。誰が誰を騙しているのか?!」と講師に言われてハッとしました。
小さい頃から両親に迷惑をかけたくなくて足手纏いにならず、ワガママを言わない良い子を演じてきました。
良い子でいる事で愛されると思い込み(充分に愛されているのに)自分の気持ちではなく、両親が求めてるだろう事が基準になりました。自分の気持ちは置いてきぼりでした。
軽率さを嫌い、慎重に行動する事を優先するあまり、自分の感じた事や思ったことをその瞬間に抑え込み、
「どっちがあっているのか?どう答えたら相手の正解なのか…?」というように、常に頭の中のジャッジで物事を計り、自分の想いは全て蓋をしてきました。こんな風に私はずっとずっと自分を騙してきたのです。
「自分を騙していたから、目の前に騙す詐欺師が表れた!Yちゃんがつくりだした詐欺師だね!」
そう言われた途端、主人に対しての猛烈な怒りや責めていた気持ちがすっと消え、
「詐欺に合ってくれてありがとう。教えてくれてありがとう」と一瞬にして感謝の気持ちが溢れてきたのです。
それからというもの、詐欺について今後の対処を冷静に話し合うことができました。
消費者センターを通じて弁護士さんに相談したり警察に被害届をだしたり、淡々と解決にむけて行動しました。
そしてこのタイミングで、ミロス実践コースに参加されてる方の中に金融のお仕事をされてる金融のプロがおられて、色々アドバイスもらったり、対処方法など調べてくださいました。このご縁にも感謝でした。
不足感と自己肯定感
色んな方に相談してアドバイスをもらいましたが、結果的にはお金の支払い義務は主人にある事に変わりなく、支払うことになりました。
しかし、驚くべきことに、主人への怒りも何もなくて、感謝の気持ちでお金を支払うことができたのです。
大切な事を教えてくれた出来事に対しても感謝が溢れ、詐欺に遭った主人にも感謝の気持ちが湧き、思わず「詐欺に遭ってくれてありがとう」と伝えている私がいました。
普通ならあり得ないですよね。
物心ついたときから
「こんな自分ではだめ!もっと頑張らないと!」といつも感じていました。
どんなに努力しても認められても消えない
《不足感》
《自己肯定感の低さ》
それをバネに頑張ってきた自分。
しかしそれさえも、今まで美化して見てきた理想の父も、一方的な見方だったこともわかりました。
自分の根源を知る
大学受験に失敗し植木職人になった父。
強烈な《コンプレックス》、《欠乏感》、《自己否定》をバネに努力を惜しまず、慎重に生きてきた父のことも理解してあげられて、
どんなに努力しても認められても消えない不足感。自己肯定感の低さという、自分の根源だったと受け取ることができたのです。
もう何十年も前のことですが、父が学生時代に使っていた勉強部屋から父のノートが出てきました。そこには
「なんてオレはダメなんだ!」とページいっぱいに書かれていたのを思い出しました。
勤勉で慎重を良しと傾き、目の前に来るものは、真反対の呑気で努力が大嫌い。
子供みたいに寂しがり屋で、構って!愛して!と甘えてくる主人。
自分とは正反対だと思っていたのですが、主人の中の《愛の不足感》だったとわかりました。
それも、慎重でワガママを言わない手のかからない良い子を演じてきた自分の、甘えたかった本当の想い。
そんな不足感、欠乏感が主人と「全く同じだったんだ」と一致し、感動し涙しました。
そして、二人の不足感が経済の不足を映し出し、「もっと!」という欲が詐欺師を引き付けたのだと…。
まさに夫婦二人で作り出した世界でした。
詐欺に合い、大金を支払う事になりましたが、
自分が何を良しとし、
何を嫌い隠して偏っていたか。
自分の目の前に自分の何が映っているのか。
とことん気づかせてもらいました。
感謝でお金を出す体験も出来ました。
そして、そこに至るまでのたくさんの方のご尽力と愛をいただきました。
自分を解体し自分を知ることが出来ました。