家族間のストレス、経済的な問題など、さまざまなことが虐待の引き金になったりもします。子育てをする中で生じる《不安や寂しさ》といった感情も、けっして特別なものではありません。虐待をしたことで親自身が悩んだり、やめたいと思っていてもやめることが出来ないケースも多いようです。今回の女性は、自分が「虐待」をされていたとは、思ってもみなかったけれども、考えて見ると、両親の激しい喧嘩や父の暴力、母の状況など、何故そのようなことが起こるのか？親子の関係性を紐解き理解したことで《生きる意味・生きる喜び》を感じた彼女でした。
Mさん 30代 女性【兵庫県】
コミュニケーションがとれない家庭で育つことで…
私は、現在TeamNOAHのメンバーとして、MIROSS×189プロジェクトで全国を回らせてもらっています。
イベントをきっかけに、今一度自分の人生を見直すことになりました。
私には虐待はほぼないと思ってきた人生でしたが、189イベントに関わるスタッフとして無い訳はないと思い、さらに自分自身に向かったところ、虐待された側としての体験がハッキリと浮かび上がり、自分の人生が、深く濃く強い愛のあった人生にひっくり返りましたので、感謝と共にご報告させていただきます。
私の両親は、子供たちがいる前でも、常に平然と酷い罵り合いの喧嘩をし、仲良い父母の姿は生まれてから一度も見せてはくれませんでした。
特にアルコール依存症の父は、酒に呑まれると私や兄に何時間も正座をさせ、暴言を執拗に浴びせ、時には殴られたりしたことが何年も続いていました。
そんな父の行為に怯えた私たち兄妹は、家の中では常に父に捕まらないようにと、息を殺して行動し、トイレに行くにも気配を消して移動しなければならず、私が安心して居れる場所は家の中にはどこにもなく、いつも極度に緊張して過ごしていました。
また父は、外に出れば他人とトラブルを起こし、家族に迷惑をかける恥晒しのような存在でもありました。
私は、幼心に父さえいなければ！と思い、いつもとにかく早く死んでほしいと思っていました。
酔った父から、いつ蹴られたり殴られたりするか分からない状況で、助けてほしい母は、いつも仕事で不在でした。
その理由を母に問うと、その答えは父が働かないからということで、何も返す言葉がありませんでした。
ですので、私には母に遊んでもらった楽しい記憶が、ありませんでした。
家族間で上手くコミュニケーションがとれない不調和な家庭に、私はひどく心を痛め、なんとか家族仲良くなるようにと、いつも必死でした。
この愛なんて微塵もない家庭の中で、親を楽にしてあげたら、夫婦親子が仲の良い憧れの家庭になるかもしれないと考え、一生懸命親の役に立つことばかりをしてきました。
自分のことは、後回しに生きてきた！
例えば、家は貧しかったにも関わらず、兄が交通費のかかる高校に行ったので、私は親の負担にならないようにと、自分の希望ではないけれども、歩いていける高校を選択したり、
看護学校も病院が学費を払ってくれるからという理由で選びました。
また、女の子なのに、いつも兄のお下がりのものばかり与えられていましたが、我儘を言って親を困らせることは出来ず、ぐっと我慢して親にはおねだりなど一切しませんでした。
そして、いつも家の中では、父と母が喧嘩しないように、場の空気を読む事に必死で、気がつけば自分の気持ちは後回しで、学校でいじめにあい精神的にギリギリだった時でさえ、親に迷惑かけれないと思い、親には言えず、1人で耐えていました。
そんな私の必死の努力の甲斐もなく、最終的には、父が酔った勢いで、母の肩を刃物で刺すという大問題を起こし、その事がきっかけとなって離婚という形になってしまいました。
あんなに、自分のことは二の次にし、家族のために必死に尽くしてきたのに、結局、家庭が崩壊してしまったことに、物凄く情けなくて、本当に自分は何をやってもダメなんだ…！という
《無力感と絶望感》でいっぱいになりました。
こんな悲惨な人生が自分にとっては、当たり前すぎて、知らず知らずのうちに感情を切り続け、いつのまにか無かったことの様に生きていたことが、今回判明し驚愕しました。
そして、189プロジェクトを通して社会に出させていただいたこのタイミングだからこそ、更なるステージとして、しっかりと自分の人生に向き合うことになったんだと感じました。
ミロス実践コースのカリキュラムを受ける中で、どんどん紐解けて、自分が《虐待児》であり、どれだけつらい幼少期を過ごしてきたか、それは何故だったのかを理解できた時に、心の奥にあった固く閉ざしていたものが、一気に解放され、涙が止まりませんでした。
同時に、理解したことでこんなにも癒されるのかと、安堵感が湧き上がる様な不思議な感覚を体験しました。
大きな理想を持っていたことで…
なぜ、私の人生に虐待が起きたのか？ですが
両親の生い立ちを見ていくことにしました。
《 父 》
父は、7人兄姉の末っ子として、育てられましたが、父が20歳になったある日に、信頼していた家族から『お前はお父さんお母さんの実の子ではなく、一番上の姉の子供だ。』と告げられて、死んでしまおうと思うくらいのショックを受けたそうです。信頼していた家族に裏切られた父は、私たち血の繋がった正真正銘の家族ができたことをとても喜び、仕事に行かないで私たち子供らとずっと一緒にいたい！と言うほど、子供たちを溺愛していたそうです。しかし、この世の仕組みを知らなかったがゆえに、家族というものに大きな理想を持ったことで、父が思いもしない方向へと夫婦家族関係は進んでしまい、家族を愛そうとすればする程、過度な関心が過干渉となり、度を超えて、虐待をしてしまっていたのでした。
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《 母 》
そして、母は子供の時に、弟を2人亡くしています。1人は池に落ちて事故死、もう1人は病死でした。その時、私の祖母（母の母）が、泣き崩れる姿を目撃し、とても衝撃だったと話してくれました。愛する我が子を失う悲しみはとてつもなく、それを目撃し、また自らも可愛い弟を失った母からしたら、子供を失う恐怖を持ち合わせていただろうと推し量ることができ、その恐怖から、母はいつも私たちに無関心で冷たかったのだと理解できました。
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この理解ができた時に、私の家庭には愛がなかったわけではなくて、その奥に愛があったからこそ、父の暴力による身体的虐待、母の無関心という心理的虐待、そして両親の喧嘩をまざまざとみさせられる面前DVという〝虐待〟が起きていて、私はすでに愛されていた存在だったと感じました。
その、理解だけで、心の中の穴が空いていた部分が埋まり、満たされて癒された感覚になりました。
このことをミロスを知らない母に話したら、母も祖母の思いを理解でき、私たちに対して、冷たい行動をした理由も理解できたようで『なんか癒されたよ』と言ってくれました。
その母の発言に、私もさらに癒されました。
その後から、《自分の人生の何故？》がわかり初めて、全ては、【親を守るため】の行動だったと納得し、どこまでも親基準の生き方をしてきたと理解できました。
そして、自分の人生がクリアになり、初めて虐待を超えた者として、MIROSS×189プロジェクトin茅ヶ崎で、パネルディスカッションに登壇させて頂きました。
父の看取りを通して
そこで、欠かせないのが、父の看取りのエピソードです。
父は12年前に、自宅で孤独死をしました。
当時私はまだミロスに出会う前で、娘の私は看護師なのに、父の最期に何もしてあげれなかった後悔や無力感を感じ、そのことにずっと苦しんで生きてきました。
実は、この同じような思いを病院で看護している患者さんや家族に対してずっと感じていました。
もっと何か良いケアができたのではないか？
もっと早く対応したら違ったんじゃないか？
と感じ、患者さんは苦しんで亡くなり、その傍らで嘆き悲しむ家族を見ては看護師としての自分に《無力感》をずっと抱えていました。
しかし、ミロスに出会い、無力感を感じられるのは、患者さんに真剣に向き合ったからであり、真剣に向き合えるほどそこに愛があったからだと、知ることができました。
その時も、涙が止まらないくらい、愛があった喜びと一気に解放された感覚となり、今までやってきたケアがこれで良かった！！！と初めて、自分の看護にOKが出せました！
そこからの、医療現場での看護は毎日楽しくて仕方ありません。
今では、病院もガラッと変わってしまい、たくさんの患者さんや家族に喜んで頂けるケアができるような体制に変わり、スタッフもとても協力してくれるし、看取りをする苦痛が一切無くなってしまいました。
また、最近では、死を覚悟され、モルヒネまで使った方が（モルヒネを使うとほぼ復活の見込みはない）なんと復活して、リハビリ目的の転院ができたりと、復活という奇跡が続き出し、私が一番驚いています。
私が本当の自分をシステムを通して復活させられたのだ！と、歓喜しています。
活動を通して、この様に人生に対してどんどん理解が深まり《この私で、この人生で良かった》と喜べる自分になれていることが最高で、毎日楽しいと感じれるように変わってしまいました。
ミロスがなければ、こんなにもこれまで生きてきた喜び、人生の喜びを感じる事ができない！！
これからも活動をしていく！！と、今まで感じたこともない強い意志に目覚めた直後に、
なんとなんと！！！
大切な方から、ご褒美をいただきました！！
