「父も母も嫌いだった」そう思い続けてきた彼女の人生。
けれど、いま振り返ると、それは“自分のことを嫌っていた”ということだったのかもしれません。
無口で、何を考えているのかわからなかった父。怒りをぶつけてくるように感じた母。
そんな両親に似た一面を持つ元夫との関係でも、彼女はずっと“傷つけられる側”としての人生を繰り返していました。
けれど、ミロスの思考テクノロジーと出会い、
「なぜ私はこの家族を選んだのか」「なぜ彼と出会ったのか」
その問いに真正面から向き合ったとき、父と母、そして“モラハラ”と感じていた彼の存在さえも、まったく違う意味を持ち始めたのです。
それは、すべてが自分を知るために用意されていた完璧なストーリーだった。
これは、相手を変えるのではなく、“見る視点”が変わることで人生がまるごと反転していった、ある女性の軌跡です。
Kさん 60代 女性 【熊本県】
両親はこんな人
かつての私は、父と母を嫌っていました。
その見方こそが、自分を嫌い、自分の人生を否定する生き方そのものでした。
【父のこと】
無口で、何を考えているかわからない。
気弱で、人生を諦めているようにも見え、恐怖さえ感じる存在でした。
けれど、思考のテクノロジーと出会い、
「父を嫌う=父を通して見ていた自分を嫌う」ことだと気づいてから、見え方が大きく変わりました。
たとえば…
「気弱さ」→ 実は“物静かさ”
「表現しない」→ “口うるさくない”という優しさ
そして思い出したのは、父の中にあった
計画性・責任感・人望・面倒見の良さ
さらに、父が16歳の時に体験した広島の原爆。
それは爆心地からは少し離れたところにいて、たまたま電話をするために電話ボックスに入った。その瞬間、原爆が落とされたのです。
電話ボックスは、爆風で吹き飛ばされ、今なら2時間半も有れば歩いて帰れる距離だが、数日かかって家に帰りつきました。
家ではお坊さんも呼んで葬儀の準備をしていたと言う。まだ熱い焼け野原を歩いて自宅へ戻ったあと、何日も生死の境をさまよったと聞きました。それでも父は生き残ったのです。
生き残ったことによる罪悪感が、人生に対する諦めの姿勢となっていたと理解した時、“死んだように生きていた父”に、自分自身を重ねていたことにも気づけたのです。
【母のこと】
気が強く、ヒステリック。空気を読まずに言いたいこと言う。
攻撃的で優しくない。子供へのしつけも厳しかった。
その母の“強さ”は、意見をはっきり言える力であり、“思ったことをすぐ言う”という一面には、後を引かない潔さもあった。
“攻撃的”と見えていたところは、やり手な母親であり、家族のために一生懸命であった故のことと見ることができた。
また、母は医者に嫁ぎながらも、跡を継ぐ夫のサポートを懸命に励んでいたが、夫(父)には別の女性に心を向けていたことに苦しんだ。
父は亡くなるまで、その女性に依存。
一方、母は、やるせない思いを押し込め、夫に対するイライラを子供に向けた。
結果、外へバランスを取るように宗教へ依存。父と同じだった。
反面教師としてしか見られなかった父と母。
けれど、同時にプラスとマイナスを見る視点を持ったことで、もう「嫌い」とは言えなくなった。
そう気づいた瞬間、私の中で全てが変わり始めました。
「私の意識がこの父母を創った」
「父が原爆で生き残ったのも、私が生まれてくるためだった」
そう見えたとき、父の罪悪感も“幻想”だったことがはっきり分かったのです。
なんてパーフェクトなストーリー!
ミロスシステムの視点は、全てをひっくり返す力がありました。
モロハラ夫をどうみたか
父とは正反対の明るく話す人を結婚相手に選んだハズでしたが、
モラハラ行為を繰り返していた元夫との関係に苦しみました。
そのモラハラとは、どんな状態か?というと、
衝動的に
破茶滅茶に
攻撃性や支配的なエネルギーを露わにする。
例えば、長い攻撃的な文章を送ってくる。
または、言葉による暴力が出たら止まらない。
しかし、その後、何もなかったかのように、本人はケロっとしている。
そして、機嫌の良い時は、大盤振る舞いしたくなる衝動が出てくる。
例えば、離れて暮らしている家族や親戚、知人、友人に、やたらとモノを送りたくなるなど。
私にも、まとまった額でお金を振り込んでくる。
そのモラハラの言動は、機嫌が良い分、その反動で起きている双極性による言動であること、
更に、その見たくない、+と-の破茶滅茶なエネルギーに対して、
「それを誰が欲しているか?」
という逆説的な感覚を講師のカウンセリングで知りました。
それは母親の追体験という視点から見たら、全てを肯定できました。
幼少期の頃から私の父には愛人がいました。
父と母の声を張り上げての喧嘩は見たことがありません。
しかし泣いている母、取り繕う父。
子どもながらに、お互い距離がある、冷めた空間、それを感じさせる両親のことが大嫌いでした。
小学生の頃は離婚すれば良いのにとも思っていた程でした。
しかも愛人だけに向く父(死ぬまで)そんな父に、
母は女性として生きることを諦め、母親としてだけ生きていたと感じます。
女性として生きることに渇望していた母。
異性に蔑ろにされた悔しさ、寂しさという大きな不足感。
その母の追体験を今、自分が体験していると感じたら、
破茶滅茶に、凄いエネルギーで支配してくる異性も、
機嫌の良い時は、過剰に何かをしてくれる異性も、
それだけ、男性の関心が自分に向いているということでした。
モラハラ的言動を自分から求めているとは、本当は思いたくありません。
しかし、その瞬間、他の女性に向いていないのは、確かです。
愛人だけに向いていた父を見ていた母にとっては、自分だけを見てくれる、誰のところにも行かない、本当はそんなパートナーが欲しかったに違いありません。母の女性としての渇望や不足感とは、私にとって振り回されるほどのエネルギーを向けられることにより、満たされたのです。
実は、彼の言葉での暴力が繰り返される中、こんな変な人なのに、なんで私は好きなんだろうと疑問が湧いてきたことがありました。
そして何故そんな言動になるのか?をカリキュラムで理解することにより、どう対応したら良いのか?が見えてきました。
例えば、
「お前なんかもう無理だ!二度と電話してくるな!」
という言動は、そう言ったらどう来るか?それでもこっちを向いてくれるのか?!と私を試しているということ、そして
その奥には好意もあるということが解かりました。
すると彼の言動に振り回されなくなったのです。
例え、ネガティブなコミュニケーションであろうが、二人でその時間、空間を共有していることには違いない。
そう感じるたびに、元夫を見る目が変わり、不安や恐怖がなくなっていきました。
孫が生まれたことで
元夫は、いつしか悪者としてきた母と重なり、またバサっと関係性を断ちました。
今まで見ないで離婚しビックリさせたままだったこと。ずっと彼を悪者にしてきたこと。人間は このようにしか生きられないことを体験するプログラムであり、そのために出逢った同士という感覚を掴むと、憎しみが、ありがとうという感謝に変わってしまいました。
娘に孫が生まれたことで、元夫と彼の両親に、まさかの再会というタイミングを与えられました。
そしてその時に
「可愛い孫に出逢えているのは、元夫が生まれてきてくれたから。その誕生がなければ、子どにも孫にも出逢えなかった」
「代々命が繋がって、彼を産んでくれたからこそ、私たちは出逢えた」ことへの素直な思いを感謝で伝える空間になっていました。
その言葉に一番感動したのが元夫。
歓喜の涙で「お前がそんなことを言ってくれるなんて、思ってもいなかった。ありがとう」と言ってくれました。
私の男性性が癒された瞬間でもありました。
更に離婚した相手の両親にまで感謝が溢れてくる。
復讐のエネルギーが感謝のエネルギーへ。
両家の同じ傷が終わると同時に、両家の和解が生み出されました。
傷が絆に変わる!
傷のない過去と未来!
そんな壮大な創造を身をもって体験させていただきました。
変化の証
今では、元夫との関係にも変化が表れています。
・同時に同じ言葉を発する
・可愛いと言ってくれる
・電話にもすぐ出る
・思いが通じ合っていると感じる
これまでの破茶滅茶なやり取りすら、
二人で“同じ空間”を共有するための大切なプロセスだったのだと、今なら分かります。
「再婚なんて、自分でも想像すらしていなかった」
そう思っていた私が、今、もう一度彼と向き合い、共に歩もうとしている。
その理由は、やはり“両親との関係”にありました。
かつて「こんな人たち」と決めつけていた父と母を、ミロスの視点で見直したことで、私の中に眠っていた“本当の自分”が目を覚ましたのです。
あの夫との関係に、私は何を見ていたのか。
なぜあの言葉や態度に、あれほど傷ついてきたのか。
そのすべてが、“自分を知るプロセス”だったと分かった時、
私はもう一度、自分の本質を確かめてみたくなったのです。
今度は同じ結婚ではない。
内側が変わった“私”が選ぶ、まったく新しい現実を、この目で見てみたかった。
かつて「最も遠い存在」だった人と、「最も近い関係性」を築く。それは、まるで違う新しい次元のパートナーシップのはじまりでした。
本当の意味で「自分の人生」を生き始めています。
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※続く後半では
「自分を知る」それは、決して簡単なことではありませんでした。
けれど、見たくなかった過去にこそ、本当の愛のヒントが隠されていた…。
父と母、そして元夫。長年、傷つけられたと思い込んできたその存在たちを通して、ようやく“自分自身”と出会う旅が始まったのです。
そしてそこから、思いもよらない未来が動き始めました。
16年という月日を経て、かつての夫と再び人生をともに歩み出すことになる。
続く後半では、傷が絆へと変わり、過去が感謝へと反転していくプロセスを、どうぞご覧ください。